ユーザーリサーチガイド/テンプレートと用語

ユーザーリサーチ用語集

ユーザーリサーチと AI インタビューでよく使われる用語の日英対照と定義を、リサーチ手法、インタビューとインタビューガイド、分析とレポート、指標とデータ、AI インタビューの5つのグループに分けてまとめています。どの項目も、単独で引用できる完結した説明です。

9 分で読めます2026-10-24 更新

目次

この用語集には、ユーザーリサーチと AI インタビューで最もよく使われる32の用語を収録しています。各項目に日本語、英語、定義を示し、定義の最初の一文だけで完結した説明になっているため、単独で引用できます。用語は5つのグループに分けています:リサーチ手法、インタビューとインタビューガイド、分析とレポート、指標とデータ、AI インタビュー。

リサーチ方法

ユーザーインタビューUser Interview

ユーザーインタビューとは、リサーチャーがユーザーと1対1で話し、その体験、動機、ニーズを理解する定性リサーチの手法です。「なぜ」と「どのように起きたのか」に答えるのが得意で、割合の推定には向いていません。対面、電話、ビデオ、テキストといった形式がよく使われます。

デプスインタビューIn-depth Interview

デプスインタビューとは、少数の話題に絞り、深掘りを重ねて回答者の体験や考えを深く理解する半構造化インタビューです。1件あたりの時間は通常のインタビューより長いことが多く、インタビューガイドで決めるのは話題と目的だけで、具体的な質問は回答に応じて調整します。動機や意思決定のプロセスなど、複雑なテーマの探索に向いています。

ユーザビリティテストUsability Testing

ユーザビリティテストとは、ユーザーに指定したタスクを実行してもらい、その操作の過程を観察してプロダクトの使いにくさを見つけるリサーチ手法です。リサーチャーは、ユーザーがどこでつまずいたか、どんなミスをしたか、どれくらい時間がかかったかに注目します。Nielsen(2000)は、1回のユーザビリティテストではユーザー約5人で問題の大半を見つけられるとしていますが、この知見はユーザビリティテストにのみ当てはまります。

コンセプトテストConcept Testing

コンセプトテストとは、プロダクトや機能の開発前に、ターゲットユーザーにプロダクトのコンセプトを示し、どの程度理解され、受け入れられるかを把握するリサーチ手法です。提示するものは、説明文、スケッチ、プロトタイプのいずれでも構いません。重要なのは、ユーザーが理解しているか、必要としているか、どんな場面で使うかを確かめることです。

フォーカスグループFocus Group

フォーカスグループとは、1人のモデレーターが複数の回答者を率いて、同じ話題について集団で話し合う定性リサーチの手法です。グループとしての考え方や言葉づかいを知るのに向いていますが、少数の人が議論を主導し、ほかの人が同調するという状況が起きやすくなります。個人の体験やデリケートな話題を扱う場合は、通常1対1のインタビューのほうが適しています。

アンケート調査Survey

アンケート調査とは、固定された一連の設問で比較的多くの回答者から回答を集め、数や割合を集計する定量リサーチの手法です。「何人いるか」には答えられますが、理由を聞き出すのは困難です。インタビューと組み合わせて使われることが多く、まずインタビューで理由の類型を洗い出し、次にアンケートで各類型の割合を推定します。

ジョブ理論Jobs to be Done

Jobs to be Done は、ユーザーはあるジョブ(片づけたい用事)を片づけるためにプロダクトを「雇用」すると考える、ユーザーニーズを理解するためのフレームワークです。Clayton Christensen の研究と深く結びついており、ユーザーの属性ではなく、ユーザーが得たい進歩に注目します。たとえば、ユーザーが電動ドリルを買うとき、片づけたいジョブは壁に絵を掛けることかもしれません。

インタビューとインタビューガイド

リサーチプランResearch Plan

リサーチプランとは、そのリサーチをなぜ、何を、どのように行うのかを示す計画書です。通常は、ビジネス課題、下すべき意思決定、リサーチの問い、回答者の条件、サンプルサイズ、スケジュール、成果物を含みます。下すべき意思決定を明確に書けない場合、まだリサーチを始めるべきではないことが多いといえます。

インタビューガイドInterview Guide

インタビューガイドとは、インタビューで扱う話題と、話題ごとのリサーチ目的と主な質問を定めた文書です。よいインタビューガイドは、順番に読み上げる長い質問リストではなく、話題ごとに構成され、深掘りの方向も書かれています。AI がモデレートするインタビューでは、インタビューガイドは AI がいつ深掘りし、いつ終えるかを判断する拠り所にもなります。

深掘りFollow-up Question / Probe

深掘りとは、回答者の直前の回答を受けて質問を重ね、漠然とした話を具体的にしていくインタビューの技法です。よくある方向は、具体的な1回の体験、そのときの段階、もともとの期待、その後の行動を聞くことです。たとえば回答者が「あまり使いやすくない」と言ったら、「最近使いにくいと感じたのは、何をしていたときですか」と深掘りします。

誘導質問Leading Question

誘導質問とは、質問の中で答えをほのめかしたり、立場を前提にしたりする質問で、回答者は質問者の意図に沿って答えてしまいがちです。たとえば「料金が高すぎたから使わなくなったんですか」。これは「その後使わなくなったのは、どうしてですか」のような中立的な聞き方に改めるべきです。

オープンクエスチョンOpen-ended Question

オープンクエスチョンとは、選択肢を示さず、回答者に自分の言葉で答えてもらう質問です。予想外の情報が得られるため、インタビューでの主な質問形式です。これに対するクローズドクエスチョンは、はい・いいえで答えるか、選択肢から選ぶことしかできません。

スクリーナーScreener

スクリーナーとは、本番のインタビューの前に、応募者が回答者の条件に合っているかを判断するための短いアンケートです。応募者が選ばれようとして答えを調整しないよう、設問からリサーチの目的が読み取れないようにすべきです。通常は、同業者や最近インタビューに参加した人も除外します。

回答者への謝礼Participant Incentive

回答者への謝礼(インセンティブ)とは、回答者が割いてくれた時間に感謝して提供する現金、ギフトカード、特典などのお礼です。謝礼の水準はインタビューの所要時間と対象者に見合ったものにすべきで、低すぎると人が集まらず、高すぎると謝礼目当ての人を引き寄せるおそれがあります。支払いの時期と方法は、招待の段階で明確に伝えておくべきです。

分析とレポート

コーディングCoding

コーディングとは、インタビューの発言にテーマのラベルを付け、分類や比較ができるようにする定性分析の手法です。同じ発言に複数のコードを付けることもあり、コード体系は分析を進める中で統合・調整されていきます。コーディングが終われば、各テーマに何人の回答者が言及したかを集計できます。

テーマの飽和Thematic Saturation

テーマの飽和とは、インタビューを増やしても新しいテーマがほとんど出てこなくなった状態のことで、サンプルサイズが十分かどうかの判断によく使われます。Guest、Bunce、Johnson(2006)の研究によると、比較的同質な対象者では、約12件のインタビューを過ぎると新しいテーマはほとんど出てこなくなります。対象者間の違いが大きい場合は、セグメントごとに判断する必要があります。

親和図Affinity Diagram

親和図とは、多数の断片的な観察や発言をカードに書き出し、内容のつながりに沿ってグループ化してテーマを導き出す整理法です。KJ法とも呼ばれ、日本の文化人類学者・川喜田二郎が考案しました。チームでインタビューの材料を整理するのに向いています。グループ分けは発言の原文から出発してボトムアップで作るべきで、先に分類を決めてから当てはめるものではありません。

インサイトInsight

インサイトとは、リサーチ資料から導き出された、ユーザーの行動を説明し、意思決定に影響を与える発見です。ユーザーが言ったことを繰り返すだけでなく、その背景にある理由とプロダクトにとっての意味を示します。信頼できるインサイトは発言の原文までたどれ、該当人数と反例が明記されている必要があります。

言動の不一致Say-Do Gap

言動の不一致とは、回答者が語った考えや意向と、実際の行動が一致しない現象です。たとえば、回答者はある機能にお金を払うと言ったのに、実際には購入しなかった、といったケースです。そのため、インタビューでは将来やるかどうかよりも、過去に具体的に何があったかを多く聞き、必要に応じて行動データと照合すべきです。Rob Fitzpatrick は『The Mom Test』(2013)でこの問題を体系的に論じています。

反例Counterexample

反例とは、ある結論と食い違う回答者の発言や行動のことです。反例を挙げることで、読む人は結論が当てはまる範囲を判断でき、一部から全体を決めつけることを避けられます。反例が特定の層に集中している場合、その結論は一部のユーザーにしか当てはまらないことが多いといえます。

トライアンギュレーションTriangulation

トライアンギュレーションとは、複数の情報源や手法を使って同じ結論を相互に裏付ける方法です。たとえば、インタビューの結論をアンケートのデータ、行動データ、サポートの記録と突き合わせます。複数の情報源が同じ結論を示せば結論の信頼性は高まり、互いに矛盾する場合は、さらに調べる必要があることを意味します。

ペルソナPersona

ペルソナとは、リサーチをもとにまとめた典型的なユーザー像で、あるタイプのユーザーの目標、行動、利用シーン、ペインポイントを要約したものです。よいペルソナはチームの想像ではなく、インタビューとデータから生まれます。意思決定の場で、具体的に誰のために設計しているのかをチームが忘れないようにするのが目的です。

指標とデータ

ネット・プロモーター・スコアNet Promoter Score (NPS)

ネット・プロモーター・スコアとは、「友人や同僚にどの程度勧めたいと思いますか」という質問でユーザーの推奨意向を測る指標で、Fred Reichheld が2003年に提唱しました。回答者は0〜10点で評価し、9〜10点が推奨者、0〜6点が批判者で、NPS は推奨者の割合から批判者の割合を引いた値になり、範囲は -100 から 100 です。スコアそのものは理由を説明しないため、低評価の理由はインタビューでの深掘りによって明らかにする必要があります。

顧客満足度Customer Satisfaction Score (CSAT)

顧客満足度とは、あるサービスや体験に対するユーザーの満足度を測る指標です。よく行われるのは、ユーザーに1〜5点で評価してもらい、4点と5点を選んだ人の割合を計算する方法です。主に、1回のサポート対応や1回の注文といった、個々のやり取りを測るのに使われます。

リテンションRetention

リテンションとは、ユーザーが初めて利用したあと、一定期間にわたって引き続きプロダクトを使っている状態のことで、通常はリテンション率(継続率)で表します。たとえば翌日リテンション率は、初日に利用したユーザーのうち翌日も利用した人の割合です。リテンションのデータからは何人が残ったかはわかりますが、残った理由や離れた理由はインタビューで明らかにする必要があります。

チャーン(離脱)Churn

チャーン(離脱)とは、ユーザーがプロダクトの利用をやめたり、サブスクリプションを解約したりすることで、通常は一定期間内に離脱したユーザーの割合で測ります。離脱の判定基準はプロダクトによって異なり、たとえば30日連続でログインしていない、サブスクリプションの期限が切れても更新していない、などです。離脱ユーザーへのインタビューは、離れた理由を知る最も直接的な方法です。

行動データBehavioral Data

行動データとは、どのページを訪れたか、何をクリックしたか、いつ課金したかなど、ユーザーがプロダクトの中で実際に何をしたかを記録したデータです。ユーザーの行動を客観的に反映しますが、理由は含まれていません。インタビューと組み合わせると、行動に基づいて回答者を選び、データでインタビューの結論を検証できます。

AI インタビュー

AI モデレートインタビューAI-moderated Interview

AI モデレートインタビューとは、AI がインタビューガイドに沿って回答者と1対1で対話し、回答に応じて深掘りし、結論をまとめるインタビュー手法です。大量のインタビューを同時に実施しながら、1件ごとに深掘りを保てます。リサーチの問いの設定、インタビューガイドのレビュー、結論のレビューは、引き続きリサーチ責任者が担う必要があります。

インフォームド・コンセントInformed Consent

インフォームド・コンセントとは、回答者がリサーチの目的、記録の方法、データの用途、自らの権利を理解したうえで、自発的にリサーチへの参加に同意するプロセスです。AI がモデレートするインタビューでは、対話の相手が AI であることも伝えるべきです。同意はインタビュー開始前に取得し、記録を残しておく必要があります。

匿名化Anonymization

匿名化とは、リサーチ資料から回答者を特定できる情報を削除または置き換える処理です。よく行われるのは、氏名、電話番号、メールアドレス、詳しい住所を削除し、実際の身元の代わりに回答者番号を使う方法です。レポートで引用する発言は、事前に匿名化しておくべきです。

発言へのトレーサビリティQuote Traceability

発言へのトレーサビリティとは、レポートの各結論から、それを裏付ける回答者の発言の原文と、インタビュー内でのその位置までたどれることです。読む人が結論の正確さを確かめられるだけでなく、AI やリサーチャーが一般化しすぎていないかも見つけられます。AI リサーチツールを評価する際に、重点的に確認すべき項目です。

無効なサンプルInvalid Response

無効なサンプルとは、分析に含めるべきでないインタビューのことです。たとえば、質問とかみ合わない回答、明らかにおざなりな回答、回答者の条件に合わない人、同じ人の重複参加などです。無効なサンプルを除外すれば、質の低い回答が結論に影響するのを防げます。除外する際は、後から見直せるよう理由を記録すべきです。

heari での進め方

heari のフローは、ここに挙げた用語の多くをカバーしています。AI がビジネス課題からリサーチプランとインタビューガイドを作成し、リサーチ責任者がレビューしてから公開します。AI はテキストまたは音声でインタビューをモデレートし、回答に応じて深掘りします。リサーチャーは同席したり無効なサンプルを除外したりできます。インサイトレポートの各結論には発言の原文と反例が添えられ、人数が明記されています。ThinkingAI Agentic Engine と連携すれば、行動データで回答者を抽出し、データで結論を検証できます。

よくある質問

ユーザーインタビューとアンケート調査は何が違うのですか?

ユーザーインタビューは1対1の対話で、ユーザーの行動の背景にある理由や具体的な体験を聞き出すのに向いています。アンケート調査は固定の設問で大量の回答を集め、数や割合の集計に向いています。リサーチでは、まずインタビューで理由の類型を洗い出し、次にアンケートで各理由の割合を推定することがよくあります。

テーマの飽和とはどういう意味ですか?何件インタビューすれば飽和したといえますか?

テーマの飽和とは、インタビューを続けても新しいテーマがほとんど出てこない状態を指します。Guest、Bunce、Johnson による2006年の研究では、同質な対象者ではおよそ12件のインタビューを過ぎると新しいテーマはほとんど出てこなくなることが示されています。違いの大きい複数の層を対象とする場合は、層ごとに飽和に達したかを判断すべきです。

NPS はどう計算しますか?

NPS では、推奨する意向を0〜10点で答えてもらい、9〜10点を推奨者、0〜6点を批判者とします。推奨者の割合から批判者の割合を引いたものが NPS で、結果は -100 から 100 の範囲になります。7〜8点の中立者は計算に直接は含めません。

インサイトと結論は何が違うのですか?

ユーザーリサーチでは、結論はふつう、たとえば多くの回答者がどの段階でつまずいたかといった、リサーチでわかったことを述べたものです。インサイトはさらに一歩進んで、その背景にある理由と、プロダクトの意思決定にとっての意味を示します。どちらも発言の原文、該当人数、反例を添えてこそ、チームが検証し、信頼できるものになります。

誘導質問とは何ですか?どうすれば避けられますか?

誘導質問とは、質問の中で答えをほのめかす質問で、たとえば「高すぎたからですか」のようなものです。避けるには、何が起きたか、なぜかだけを聞き、質問の中に理由の候補を入れないことです。たとえば「その後使い続けなかったのは、どうしてですか」と聞き直します。

ご自身の問いで、トライアル調査を

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